当ページでは人工言語alimの発音について解説しています。
音節構造
多くの言語において、発音は「音節」と呼ばれる構造によって決められている。
音節とは、簡単に言えば「母音を核とした音のセット」のことであり、alimの場合、以下のような組み合わせが基本となる。
C V (C)
頭子音 母音 末子音
Cは子音、Vは母音を表す。末子音はない場合も多い。
例えば日本語の「か」という音は、頭子音/k/と母音/a/が組み合わさった音節である。それと同様に、日本語の「かん」という音は、頭子音/k/と母音/a/に加え、さらに末子音/N/が加わった音節であると考えることができる。
日本語の音節は、多くの場合CV(「か」「さ」「た」など)またはV(「あ」「い」「う」「え」「お」など)の構造を持ち、末尾に「ん」や「っ」を含む場合のみCVCあるいはVCの構造を持つ。
alimにおいては、外来語を除き日本語と異なりVのみによる音節は許されない。すなわち、「あいうえお」に対応する母音のみの音節は存在せず、母音の前には必ず子音がある。また、英語のように末子音が2つ以上連結することもなく、一部の例外を除き頭子音も2つ以上連結することはない。
(例:英語のstrengthという単語の音節構造はCCCVCCであるが、このような構造は日本語やalimでは許されない。)
頭子音
頭子音(母音の前につく子音)は単体では全部で26種類。二重子音(bl, pl, gl, kl, br, pr, gr, kr)も含めたら34種類。上記リストは国際音声記号(IPA)ではなく、alimをラテン文字転写した際の表記に従っている。ちなみに日本語は多く数えても20種類程度。
以下に個々の発音を解説する。
- s, z, sh, m, n, w, y, hはそれぞれ「さ」「ざ」「しゃ」「ま」「な」「わ」「や」「は」の子音に近い。日本語話者(並びに朝鮮語話者)は「スィ」と「シ」の違いに注意する。
- b/p, d/t, j/c, g/kの発音は、基本的にはそれぞれ「ば/ぱ」「だ/た」「ぢゃ/ちゃ」「が/か」でよいが、強いて言うなら以下に注意する。
- b/p, d/t, g/kはそれぞれ「無気音」か「有気音」か、すなわち「発音する際に息を強く吐き出すか否か」で区別されている。p, t, kを発音する際には大げさに息を吐き出すとよい。韓国語の平音と激音の区別とほぼ同様。
- 日本語(やスペイン語)では文章の途中でb, d, j, gを発音する際、その音が弱くなる(摩擦音化)が、alimではこれは起こらない。しっかり息を詰まらせて明快に発音するようにするとよい。
- t’, c’, k’は言語学において「放出音」と呼ばれる、調音点(子音の発音の際に口の中で空気の流れを妨げる位置)と声門の間に空気を閉じ込め、その内部の気圧を上げた状態で空気を放出することで生み出される音である。
- xは「か」の音で「は」を発音するような音である。ドイツ語の母音a, o, u等の後にくる「ch」や、アラビア語のخとほぼ同じ。
- fは英語のエフとほぼ同じ。日本語の「ふぁ」の子音でも伝わるが、正確には上の歯で下唇を軽く噛んで発する子音である。また英語と同様に「fu」と「hu」の区別に注意する。
- lは英語のエルと同様に、上歯茎に舌の中音先端部分だけを乗せて発音する。(英語のLの発音を調べれば解説が大量に出てくる)
- lhはlと同じ舌の位置で、舌と上歯茎との間にできている左右の隙間から息を思い切り吹き出して発音する。聞いた印象はかすれた「しゃ」という感じ。日本語話者にとってalimの発音の鬼門のひとつと思われる。
- rは日本語の文中の「ら」と同じか、イタリア語等で見られるいわゆる「巻き舌」のどちらかである。基本的にはどちらでもよいが、日本語では文の最初の「ら」はlに近い音になってしまうので注意。日本語話者の場合、上歯茎を舌で素早くはじくことを意識するとよりきれいに発音できる。英語のrに見られる「ゥラァ」ではないので注意。
- ngは「ンガァ」という感じの音。ただしalimにおいて、頭子音のngは「ニャ」に近い音(硬口蓋音)になることが多い。これもどちらでもよいが、日本語ではどちらかというと「な」と「にゃ」が近いので、日本語話者は「ンガァ」と発音しておくのが無難。
- ‘は声門破裂音と呼ばれる音で、声を出していない状態から突然「あ」と言ったときの音。ある程度の年齢以上の沖縄県民は恐らく聞き取れる。
母音
単母音は7つ。
a, i, e, oはそれぞれ日本語の「あ」「い」「え」「お」に近い。強いて言うなら「お」はより口を丸めることを意識するとよい。
uは日本語よりも口をすぼめて大げさに発音。
ɨ (eu) は「い」と「う」の中間の音。「い」と同じくらい口を狭めて舌の力を抜いて発音する。韓国語(ソウル方言)の으に非常に似ているが、それよりわずかに「い」に近い。
ə (oa) は口全体の力を大きく抜いて発音する。聞こえの印象は英語の「シュワー」「曖昧母音」に近い。ただしalimではやや後舌寄りの音(イギリス英語の”love”の”o”のような音)になることも多い。個人的には「オペラっぽく発音した”あ”」という印象がある。
二重母音には「ai」「ei」「oi」がある。日本語の「あい」「えい」「おい」をなめらかにした感じ。特にeiは「えー」と区別することに注意。
末子音
末子音(母音の後につく子音)はb, d, g, f, s, x, m, n, ng, lの10種類。末子音が「ん」と「っ」しかない日本語よりもはるかにバリエーションが多い。
基本的に発音は英語とほぼ同じと考えてよい。ただしb, d, gは発音上はp, t, kになる。
その他の主な注意点
- 日本語と異なり、母音や子音の長さによる区別はない。すなわち「坂(saka)」「作家(sakka)」「サッカー(sakkaa)」のような、それぞれの音の発声の時間による意味の区別を行わない。
- alimはフランス語や中国語と同様に、ひとつひとつの音節がほぼ同じ時間だけ発音される。たとえば、Kaya nosta KiPra. なら「カー/ヤー/ノーs/ター/キー/pラー」のようなリズムで発音される。
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